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【酒仙投手・今井雄太郎】
かつて、阪急ブレーブスに、
今井雄太郎という投手が居ました。
今井雄太郎は、無類の酒好きであり、
「酒仙投手」という異名を取っていましたが、
何故、今井が「酒仙投手」と呼ばれるようになったのか、
それには、有名なエピソードが有ります。
今井は、社会人を経て、1971年に阪急に入団しましたが、
生来の、気の優しさが災いし、
ブルペンでは、素晴らしい球を投げているのに、
試合では、その力を充分に発揮出来ず、
何故だか、試合では好投出来ないという悪循環が続いていました。
やがて、今井には「ノミの心臓」、「ブルペンエース」という、有り難くないニックネームが付けられてしまいます。
そんな状態が続き、今井は、入団して数年間は、鳴かず飛ばずでした。
しかし、1974年のある日、
試合前に、当時の投手コーチだった梶本隆夫が、その日に先発する予定だった今井に、こう持ち掛けます。
「今井、今日の試合前に、酒を飲んでから、マウンドに上がれ」
これには、今井も仰天しましたが、
梶本には、ある狙いが有りました。
今井は、ブルペンでは凄い球を投げているのに、試合では、緊張からか、その実力を発揮出来ていない。
それなら、今井の大好きな酒を飲ませてから登板させて、
少しでも、その緊張を和らげてやろう…
というのが、梶本の意図だったと言います。
今井は、半ば、藁にもすがる思いで、その指示に従いました。
すると、その試合では、今井は最初はアルコールが抜けず、とにかく気持ち悪くて仕方が無かったそうですが、
その分、余計な事を考えずに済み、
スイスイと好投してしまい、見事に、勝利投手となってしまいました。
つまり、梶本の作戦が、見事に図に当たったわけですが、
この試合を転機として、
今井は、それまでとは別人のように、
ブルペンでの実力を、試合でも発揮出来るようになります。
やがて、今井は阪急のエースの座を勝ち取りますが、
その後も、今井はしばしば、試合前に酒を飲んでから、マウンドに上がるようになり、
その姿から、「酒仙投手」という異名を取るようになった、との事です。
つまり、今井は、無類の酒好きだったお陰で、プロとしての道が開けたわけですから、
面白いですね。
このエピソードを見ると、人生、何が幸いするか、わからないものだなあと思います。

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